【東北ブロック】
人生は選択肢の連続 ー心の向く方角に舵を切るー(2020年10月21日掲載)

1か月前 : 2020.10.21

武田

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仙台高等専門学校 助教 加賀谷 美佳


私は、宇宙観測や環境モニタリング、核医学施設など様々な場所で用いられる放射線計測器の開発について研究をしています。特にガンマ線の可視化装置であるコンプトンカメラの開発を行っています。小学生のころから宇宙に関することに興味があったことと、ものづくりが好きだったことから、大学時代は高エネルギー宇宙物理の研究室に所属し、装置開発に携わっていました。ちょうど大学を卒業する年の3月に東日本大震災に見舞われ、大学院での研究活動のスタートと同時に放射能汚染と向き合わなければいけなくなったのがこの頃です。大学院では超高エネルギーガンマ線天文台の望遠鏡に用いる鏡の耐候性評価を行っていましたが、年度の途中から東日本大震災における福島第一原発事故の除染作業に利用するためのコンプトンカメラの開発も開始しました。もともとコンプトンカメラは宇宙観測を目的として開発された技術であり、夢を追う宇宙分野の技術が人の役に立つ装置として利用してもらえることは非常に嬉しく、やりがいがあると感じていました。汚染地域での測定技術の開発経験から、現在は木や食品の放射能濃度を測定できる可搬型の検査装置の開発にも携わらせていただき、様々な分野でのつながりや新たな経験を得ることができています。

可搬型放射能検査装置の実地測定の様子

私自身、ものづくりや実験が好きだったため、少しでも長く研究活動をしたいと思い、高専から大学、大学院と進んできたのですが、進路や将来の職業について深く考えたのは博士後期課程になってからです。アカデミックの世界で研究を続けるか、企業に就職するかは非常に大きな悩みでもありましたが、当時はその後のライフスタイルやワークライフバランスのことはあまり考えておらず、研究が続けられたらなという気持ちで公募情報を眺めていました。幸い、縁があって現在勤めている仙台高等専門学校に採用していただき、研究を続けられる環境に身を置けたことは本当に嬉しく思います。高専は高校生と大学生の年齢の学生が混ざった少し特殊な環境であるため、授業や学生指導、研究指導においては私自身の学びも非常に大きいです。多種多様な考え方、捉え方、現代の若者の考えを肌で感じることができ、毎日新鮮な気持ちで学生と接しております。高専教員になって約3年半が経ちましたが、これまでは教員としての仕事を覚えてこなしていくことと研究のことだけで頭がいっぱいであり、自分自身の生活やこれからのことを考える余裕はほとんどありませんでした。今回のこのコラムの執筆をきっかけに自分のライフスタイルや今後の生活のことを考えるきかっけになり、非常に貴重な機会をいただけたと感じております。

放射線計測の実習の授業の様子

近年、アカデミックの分野においても、子育てをしながら研究活動を行っている女性研究者の方が増えてきており、それに対する支援の制度も様々なものができているなと実感しています。男性の研究者の方も、子どものお迎えや行事のために早く帰ったり休みを取ったりすることが当たり前になってきているなと感じています。私の同年代の友達にも子育てをしている人が増えてきて、いい面も大変な面も含め、様々な経験談を聞く機会が多くなりました。仕事と子育てを両立させるための支援が整いつつある一方で、自分自身が親になった時のことを想像すると、本当に器用に仕事と育児を両立できるのか、うまく両立できない時期があった場合に精神的に崩れてしまわないか、仕事の割合が減るかもしれないことに気持ちの折り合いがつけられるのかという不安がいつも付きまといます。逆に、結婚も出産もしなかったとしたら親不孝なのではないか、老後はどうするのかなどの別な不安も拭いきれません。今すぐ答えが見つかるような簡単な問いではないのですが、幸い、コロナ禍で様々なコンテンツやイベント、セミナーにオンラインで参加できるようになったので、先輩研究者の体験を知る機会が増えたことは自分にとって非常にありがたいことだなと思っています。人生は常に選択肢の連続ではありますが、どのような道を選んだとしても、今を楽しんで自分らしく後悔しない生き方ができればと思います。

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