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【中国・四国ブロック】
夢を叶えることができたわたしに今できること(2020年7月6日掲載) 音声読み上げ


松江工業高等専門学校 助教 芹川 由布子


わたしが現在行っている地震防災の研究に携わるようになったのは高専5年生(19歳)の卒業研究からでした。高専在学時に東日本大震災が発生し、土木の中でも特に地震防災を専攻したいと考え地震工学の研究室を選びました。同時に、授業・卒業研究・部活動・学生会活動等の様々な場面で学生との関わりが多くある「高専の先生」という仕事に魅力を感じ、将来は高専教員になりたいと考えました。当時は学生視点での先生の姿しか見ていなかったため、高専教員という職については、研究職というよりも教育職のイメージを持っていました。大学の学部・修士と進学するに従い、研究への意識も変わっていきましたが、博士後期課程への進学は教員になるために必要だからという考えで当たり前のように決めていました。

多少の紆余曲折はありながらもこうして一貫して進んでこられたのは、先生方・友人・先輩後輩・家族の支えや恵まれた環境が常にあったからだと思います。

研究室歴代メンバーでの富士山登山

環境の良さについては、松江高専着任時にも痛感することとなりました。わたしの着任を自分のことのように喜んでくれる方、生活・体調・交友関係の心配をしてくれる方、研究費の公募情報を共有してくださる先生方、松江には慣れましたか?と話しかけてくださる教職員のみなさん・学生さんたち。気遣いながらも背中を後押ししてくれる方々がたくさんいてくれていることに気づき、その支えのありがたみを強く感じました。

今わたしはこうした背景があり、高専教員になるという大きな夢を叶えることができています。授業・卒研・部活動等、今は全てにおいて学生から学ぶことの方が多い気がしますが、充実した楽しい毎日を過ごしています。

松江高専のオンライン授業の様子

そして次の目標は、「学生時代に繋がりを持つことができた企業の現場で学生を交えた現場見学会を企画し、その繋がりを絶やさず持ち続けること」、「昨年度までは学生として参加していた地震工学の合同ゼミに卒研生を連れていき発表の場を設けてもらうこと」、「在学時に果たせなかった女子バレー部の全国高専大会出場、そして松江高専の全国制覇」を挙げています。このような目標を少しずつ積み重ね、また大きな夢が持てるような人生にしていきたいと思っています。

金沢大学・京都大学・神戸大学・岐阜大学・福井高専の4大学1高専が参加

最後に、わたしが専門としている土木工学分野では、ドボジョ・建設小町といった総称がつくほど女性は今追い風を受けています。一方で、女性ばかりが優遇されていると解釈される場合も少なくはありません。工学系は特にそうです。幸いにも、わたしは「女性だから」というネガティブな扱いは受けたことがありませんが、性別の違いで良くも悪くも必要のない区別をすることは悲しいことだと思っています。何かを評価された場合でも「女性だからかな…?」とその評価を素直に喜べない時期もありました。(※今はそんなこと全く思っていません。周りにそう言われていて、仮にそうだったとしても「女性でラッキー」と割り切っています。性別は簡単に変えられるものではないので。)

こんなわたしに今できることは、「以前はね、飲食店や娯楽施設にレディースデーというサービスがあったんだよ」とか、「嘘みたいな話だけど、女性限定公募・女性優先公募というものがあったんだよ」と都市伝説のように話ができる時代、そして、全国ダイバーシティネットワーク(OPENeD)の理念でもある『男女共同参画社会や多様な個性・能力が尊重されるインクルーシブな社会』の実現に向け、女性研究者・教育者として多方面で活躍することだと考えています。今はまだ大きな活躍はできませんが、少しずつ活動の幅を広げて研究成果を積み重ね、まずは松江市や島根県の地域防災に貢献できるよう努めていきます。


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