【日本生命保険相互会社】
「男性育休100%」の意味するところ(2020年5月28日掲載)

1か月前 : 2020.05.28

OPENeD 事務局

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日本生命保険相互会社 取締役常務執行役員 山内 千鶴


<日本生命の女性活躍推進>
日本生命は、2008年に専管組織を設置し、当初は女性がライフイベントを迎えても仕事を続けられるよう、制度を整え周知することから始め、次のステップでは、女性従業員のキャリア形成支援など、活躍領域の拡大へと進んでいきました。
まずは、「2020年度までに女性管理職割合を20%にする」という目標を掲げて取組んだ結果、目標の20%を達成しました。引き続き2020年代に30%を目指すと同時に、女性部長相当職比率を2030年度始に10%程度とする目標を掲げ、女性の経営参画をさらに推進したいと思っています。当時は、数値目標を掲げると、相応しくない人材まで登用しなければいけなくなるのではないか、という議論があり、それも正論ではあるのですが、育成強化と併せて、ここは覚悟をもってやりましょう、と進めました。


<男性育児休業100%という目標をなぜ掲げたか?>
従業員の約9割が女性で、会社が成長を続けていくためには今まで以上に女性が活躍できる環境をつくらなくてはと感じていました。そのためには、女性従業員を対象とした取り組みだけでなく、男性も含めた全従業員の意識と働き方を見直していく努力が必要だと痛感しました。
そこで2013年に「男性育児休業取得100%」を目標とする取り組みを始めました。具体的には、以下の通りです。

○トップのコミットメント
経営計画に男性育休取得100%を掲げ、トップ層があらゆる機会を捉えて、「男性育休100%を目指す」というメッセージを発信。全員取得が風土を変えることにつながり、取得しやすい文化になる。

○ 取得促進に向けた実務の見直し
男性従業員は年度始に取得計画を所属長経由で人事部門に提出し、人事部門が所属長に取得できる環境づくりも含めて徹底フォロー。また、煩雑だった申請手続を簡素化する工夫も実施。

○ ムード作り
育休取得者の体験談と所属長の応援メッセージを社内ホームページで紹介。

この時も、100%という数値目標を掲げることについては、疑問の声がありました。育児休業を取得するかしないかは、本人の自由意思です。しかしながら、大きな課題は周りに遠慮する取りづらさが根底にありました。取得推奨期間を少なくとも1週間(育児休業開始から7日間を有給休暇扱い)としたのも、現実的な全員取得を考えてのことです。加えて、実はこの制度はすでにあったのですが、あまり活用されていない実態がありました。

そこで、この制度を全員が取得することで社内の意識や風土を変えたいと思い、取り組みました。
育休を含めた年間休暇予定を年初に人事部門に報告する仕組みを作り、休業中の業務引継やサポート体制を計画的に実施できるよう管理職がサポートするようにしました。
さらに、比較的育休を取得しづらい営業現場の取得事例を社内へ発信し、「現場であっても育休取得は決して不可能ではない」と意識や働き方改革も図りました。
このような取組を継続することで、男性育休は、平成25年から7年連続で100%達成しています。

<男性育児休業100%を達成し、会社はかわったか?>
男性従業員のうち、今では男性全従業員の約4人に1人にあたる1700人が育休経験者となっています。パートナーの復職のタイミングに合わせて取得する、パートナーの里帰り出産を迎えに行くタイミングで取得し自宅に戻ってからの生活を円滑に定着させるために、買い物、掃除、洗濯、を実践するなど、育休期間の過ごし方は人それぞれですが、「取得してよかった」という声をたくさん聞いています。「家事・育児に積極的に関わろうと思った」「配偶者等の愚痴や悩みを受け止めようと思った」といった家族関係の変化や自身の生きがいにもつながっているようです。

職場でのコミュニケーションも円滑になりました。育休取得前に「1週間の過ごし方」を職場の女性からアドバイスしてもらい、そのアドバイスを実行したと報告することで、女性社員からの評価が高まったという話もあります。ある男性管理職によると、仕事と育児を両立している女性には「母親」と「会社員」という2つの顔があるのだと普通に考えられるようになり、保育園の迎えの時間や、子どもの体調不良を自然に考慮できるようになったようです。また、部下や後輩の個人的な事情をより配慮するようになり、早く帰宅できるように、業務効率を改善するなどは、働き方改革やマネジメント力の向上にもつながっています。

日本生命は、学資保険等の生命保険も販売しているので、保険プランを提案する際に、自分が育児に積極的に関わった経験をもとにお客様との話材も増えます。お客様一人ひとりのライフスタイルを肌感覚で理解できるので、結果としてお客様とのコミュニケーションがより円滑になる従業員もいました。
男性の育児参加については、少子化の抑制、女性活躍推進のための環境整備といった政策的な観点が強調されがちですが、「男性育休100%」の取り組みは、業務効率を改善したり、部下や後輩の育成をより深く考えたりなど、人財の育成や生産性の高い働き方にもつながっていると考えております。数年前から、1週間を超え、2、3ヶ月という長い期間取得する従業員も増えてきました。この取り組みを継続し、男性が主体的に家事・育児に参画し、一人ひとりが幸せを実感する社会の実現に向けて貢献していきたいと思います。

企業対象アンケート調査報告書

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全国ダイバーシティネットワーク(OPENeD)は、男女共同参画社会や多様な個性・能力が尊重されるインクルーシブな社会の実現のために、文部科学省と連携して、大学や研究機関、企業等における女性研究者の育成や研究環境・研究力の向上を目指す諸機関をつなぎ、国内外の取組動向や参考事例(グッドプラクティス)を収集・公開し、全国的な普及・展開を図ります。

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