多様性が明日の藝大をつくる。
芸術系大学におけるダイバーシティの実現に向けて

2週間前 : 2019.10.02

西田

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東京藝術大学は、日本唯一の国立総合芸術系大学として、美術学部・研究科、音楽学部・研究科、映像研究科、国際芸術創造研究科を有しています。

学生は女性が7割近くを占めている一方で、教授や准教授、講師などの上位職教員は大半が男性で、女性の割合は約2割程度に留まっています。

このような状況の中で、女性のアーティストや研究者のキャリアパスが可視化されづらくなっており、たとえば「出産や育児などによって、キャリアを諦めたり中断したりするケースがいまだに多い」「女子学生が参考にできるロールモデルが少なく、自分の将来像を描きづらい」「領域によってはジェンダーバイアスが根強く残っている」といったケースが後を絶ちません。このような状況を改善すべく、東京藝術大学では、2016年度にダイバーシティ推進室を立ち上げ、以下のような取組を行っています。

1. 教職員・学生のネットワーク構築

女性の卒業生による講演やキャリア形成に関するセミナーなど、芸術分野の女性が直面する課題について教職員や学生が話し合える場を提供しています。

「女性のアーティストが親になる時」
(2019年6月22日)


2. 情報発信

ホームページ、リーフレットなどを通じて、イベントや支援制度の案内のほか、女子学生や若手教職員のキャリアデザインに資する、教職員や卒業生の活躍の様子を伝える情報などを発信しています。

3. 意識改革・能力開発

女性教員の増加に向けた教員への意識啓発として、毎年度定期的に教員の男女比率を分析して、全学会議・教授会等で共有しています。本学は学科毎の縦割り意識が強いため、学科毎・職種毎の数値も細かく明示することで、自分の学科が置かれている状況を客観的に認識してもらうようにしています。また、女性限定の公募を実施したり、女性を採用した部局に対してインセンティブ予算を配分したりするなど、女性教員の増加を目指した取組も行っています。

学内外に向けた発信として、ダイバーシティや女性のキャリアをテーマにしたシンポジウムを年1回開催しています。2018年度は、在京の芸術系大学の女性教員にもご登壇いただき、「女性のアーティスト・研究者はどのようにキャリアを築いていけばよいのか?」をテーマに、それぞれの大学の取組や課題などについて話していただきました。その中で、本学のみならず多くの芸術系大学でも同様の課題を抱えている現状が見えてきました。


芸術系大学女性教育・研究者シンポジウム
(2018年5月26日)

東京藝術大学ダイバーシティ月間2019

2019年度には、6月中旬から7月中旬を「ダイバーシティ推進月間」と位置づけ、この期間に、芸術分野における女性のキャリアをテーマとしたシンポジウムや講演会、子育て中の声楽家らによるコンサートを開催しました。さらに、これらの推進室主催企画に加えて、部局主催企画として「クィア・アニメーション」の上映会や、ろう者による音楽を題材とした講演会など、多様性をテーマにした芸術表現を掘り下げる企画も実施しました。

そのほか、アーティストや研究者として必要な能力を培うセミナーも実施しています。

4.支援・環境改善

育児・介護中の研究者を補助する教育研究支援員の配置などライフイベントに対応した支援制度により、職場・研究・教育をとりまく環境の改善に取り組んでいます。

本学は、2016年度にダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(特色型)の採択を受け、以上のような取組をスタートしました。本学が採択された「特色型」は、機関の特色を踏まえた取組を支援するものですが、「芸術系大学」としての採択は全国初だったことから、芸術系大学に対するロールモデルとしての役割も期待されていると考えます。その期待に応えられるよう、「芸術系だからこその課題」と「芸術系だからこそできること」に向き合いながら、ダイバーシティ実現に取り組んで参ります。

【以上の取組の成功に向けた留意点】 ★は該当する項目
戦略性:機関の経営戦略として位置づけている
トップのコミットメント:機関のトップが牽引している
取組体制の整備:実施責任者を置き、明確な実施組織等を整備している
成果目標:具体的で明確な目標等を設定している
  双方向のコミュニケーション:幹部層と構成員のコミュニケーションを促進している
  説明責任と透明性:外部評価委員会等を設置し、外部の意見を取り入れる体制としている

東京藝術大学 ダイバーシティ推進室

全国ダイバーシティネットワーク

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